クロと黒霧はため息をついた。

 「クロ、もう一度図書館へ缶詰した方が良いんじゃないか?」

 「かもな・・・・・・。」

 「いやすんません勘弁して下さい。」

 「仕方ない、説明してやる。」

 クロが深く煙草を吸い言った。

 「あ、ああ・・・・・・。」

 「まず何から言うべきか・・・。
  ・・・・・・そうだな・・・、世界は二つある。」

 「!?」

 「一つは俺達が住む『人間界』、
  もう一つは別の世界『魔界』だ。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「『人間界』は人間が多い事から名付けられた。
  事実魔族よりも人間が多いだろ?
  正確に数えるのは非常に難しいがな。
  そして一方の『魔界』。
  こっちには人間は一人もいないと言われている。」

 「人間が・・・・・・いない・・・?」

 「そうだ、所謂魔族だけの世界。故に『魔界』。
  ・・・・・・魔王オリシオンは知っているな?」

 「あ、ああ。図書館で読んだ。」

 「なら話は早い。
  魔王オリシオンの膨大な魔力で時空次元が歪み出来たもう一つの世界。
  魔界の起源はそう言われている。
  魔王オリシオンに味方し追放された魔族がそちらに行ったらしい。」

 「へえ・・・・・・。
  でも世界地図でそんな場所見た事ないぞ?
  一体どこにあるんだ?」

 「あ〜・・・・・・、正確には『有るんだが無い』な。」

 「・・・・・・どういう事だ?」

 「さっきも言った通り『世界は二つある』。
  別の時空次元にもう一つ地球があるんだよ。」

 「・・・・・・ええ!?」

 「一つは『人間界』、もう一つは『魔界』。
  そして唯一の繋がりは・・・・・・ここだ。」

 クロは部屋の隅から世界地図を引っ張り出してきた。
 ナレクト大陸の北を指差す。地図上には何もないが・・・。

 「ここに『魔界門』と呼ばれる巨大な門がある。
  ただし今まで開いたという記録はない。
  互いの世界は決して干渉しない。そんなものなんだ。」

 「へえ・・・、知らなかったよ。」

 「まあ勉強しておけ。
  もう魔軍に対する懸念は分かるな?」