「おお、せやせや。
  此れをあんさんに届けに来たんや。」

 そういうと伝次郎は愛用の四次元袋を探った。
 何でも入って持ち運べる為非常に便利らしい。

 「よいしょっと!此れや。」

 伝次郎が取り出したのは玉上に丸めた鎖の塊だ。

 直径3m程で、地響きを立てながら置かれる。

 「・・・・・・何だこれは?」

 「知らんで?あんさんとこに届けて頼まれただけやし。
  まあ爆弾とかの危険物でない事は確かやなあ。」

 「・・・・・・差出人は?」

 「新山 美里はんや。」

 「ああ・・・・・・、もう分かった。」

 クロは頭に手を当てた。
 黒霧も分かったらしく複雑そうな表情をしている。

 「・・・・・・?
  まあしっかり届けたで?
  ほな代金を頂きましょか。」

 「そうだな。・・・幾らだ?」

 「締めて20万頂きますわ。」

 「高いな?」

 「ああ、前回の嬢さんの依頼含めてですねん。
  今回は1000Rぐらいやけどブレイドはん探すのほんま難しくて。
  仕事はやっといたんで其の料金やな。」

 「なる程な。」

 そう言うとクロは懐から20万出して渡した。

 「確かに。
  懐から20万出て来るのもどうやと思うけどな。」

 ヘルメットを被りながら伝次郎は言う。

 「ほな、また何かあれば呼んでーな。」

 「ああ、またな。」

 「さようなら。」

 無公害スクーターでゆっくりと去って行く伝次郎。
 本当にどうやってスクーターで世界中を回っているのだろうか。

 「さて・・・・・・。」

 クロは黒鞘の刀の鯉口を切った。

 一瞬にして鎖は真っ二つになる。
 斬鉄。
 実はかなりの高等技術だったりする。

 「お見事。」

 中には一本の見事な装飾刀があった。



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