「雷太達とも会うのも3年振りか・・・。」

 「ああ、お前はずっと影で暗――――――
  ・・・・・・来たか・・・。」

 「・・・?」

 クロの家の庭を一台のスクーターがゆっくりと走ってくる。

 「よお、久し振りやなクロはん。」

 関西弁の男は家から出てきたクロにひらひらと手を振った。

 「久し振りだな、宅配伝次郎。」



 彼の名は『宅配伝次郎』。
 非常に長く金に近い茶髪に、少々大きめのゴーグルを付けている。
 彼は世界で最も有能であり最も有名で謎の宅配屋。
 金次第である程度の者は何でも届ける様だ。
 ただし宅配が難しいもの程金額は上昇するので注意。
 彼がどうやって宅配しているのかは世界七不思議の一つになっている。
 ちなみに恐らく本名ではないが、本名を知る者もいない。



 「何や、黒霧の嬢ちゃんも一緒だったんかいな?」

 ヘルメットを外しながら伝次郎は言った。
 ただヘルメットを外しても長い髪で目は見えない。

 「ああ、私はここの参謀だからな。」

 「ふ〜ん、しっかし可愛いな嬢ちゃん。
  こんなに可愛いのに手出さんクロはんも罪やで。」

 伝次郎はからからと笑いながら言った。

 《正直と言うか無頓着と言うか・・・。》

 「いや下品だろう・・・。」

 黒霧は少々引きながら言う。

 「何言うとるんや、恋は人間の大事な性やでえ。」

 「で、何しに来たんだ?」

 クロが話を斬る様に言った。