クロ以外歩みを止めて振り返る。

 バルロクスが起き上がっている・・・。
 ただ頭や口から血が噴き出し、もう闘える状態でないのは明らかだ。

 「クロ・・・だと?
  貴殿は『氷上=P・クロ』なのか・・・?」

 バルロクスは血を吐きながら問う。

 「お、おい・・・!
  安静にしていないと流石にやばいぞ!?」

 新太郎の声を敢えて無視し、バルロクスはクロを見つめる。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・答えてくれ。」

 「・・・・・・・・・。」

 クロはそのまま一服してから、バルロクスの方を向いた。

 「久し振りだな、バルロクス・ヴェルフレイム。」

 「此の臆病者を覚えていたか・・・。
  氷上=P・クロよ・・・。」

 「臆病者?そのような覚えはないな。」

 「拙者は貴殿に斬られた後、罰を恐れ逃げ出した臆病者だ。」

 「知らないな。
  俺は政府に斬ってくれと頼まれただけだ。
  その後はお前の勝手、闘い方は立派だった。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 どうやら過去にこの二人は闘った事があったらしい。
 しかもその戦闘こそがバルロクスが捕まりそうになった原因のようだ。

 「貴殿の剣・・・・・・、錆びては無かろうな?」

 「それはお前で判断しろ。
  最も、寂びてる可能性は高いがな。」

 「ふっ・・・、片腹痛いわ・・・。」

 笑いながらバルロクスは立ち上がった。

 「お、おい・・・!」

 「それ以上動いたら・・・!」

 雷太と新太郎は慌てて止めようとするが、ヴァン達に制される。

 「ヴァンさん、デュークさん・・・。」

 「見てて、新ちゃんに雷ぷ〜。」

 「止めたら駄目だよ。」