「・・・・・・・・・・・・。」

 「拙者は・・・・・・そんな技を知らぬ・・・。」

 「体の炎を拳に収束したんだよ。
  その炎のエネルギーで拳の威力を上げているんだ。」

 「そんな事・・・・・・出来るはずが・・・。」

 「出来てるんだから仕方ないだろ?
  それよりも、バルロクス・・・。」

 新太郎はすっかり痺れの取れた右拳を握った。

 「お互い手負いだ。
  ・・・・・・決着を付けようぜ・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・。」

 バルロクスは無言で立ち上がった。

 「良かろう。
  拙者も全力で貴殿を打ち砕くのみ。」

 「来い!」

 「参る!!」

 バルロクスは地を蹴った。

 先程と同じく右蹄の蹴り。
 ひびは入ったが慣れない左足よりはましだ。

 再び新太郎は右腕を前に掲げる。

 「・・・・・・・・・・・・・・・!!」

 再び炎が収束した。
 心なしか先程よりより大きい気がする。

 「・・・・・・ぬん!!」

 「・・・・・・白虎煌閃!!」



 ドゴォン!!



 「ぬ・・・・・・おっ・・・!?」

 「がっ・・・!」

 バルロクスの蹄、新太郎の右拳。
 ぶつかった互いの武器が砕けた。

 バルロクスは体勢を崩しながらも勝利を確信する。
 両の腕が砕けては勝負にならない。
 加えて此方にはまだ左蹄がある。

 「拙者の勝ちだ・・・、降参なされよ――――――

 「まだだっ!!」

 「何!?」



 ボオォウ!!



 新太郎の頭から炎が一気に噴き出した。
 地を蹴った彼はバルロクスの毛を折れていない左手で無理につかむ。
 バルロクスは体勢を崩し、慌てて出した右拳も頬をかすめるのみだ。
 その炎を収束した頭の行く先は――――――

 「ばっ・・・・・・!?
  (馬鹿な!?両拳を砕かれまだ来るだと!?
   此の闘い方、引かぬ戦法、炎・・・。
   間違いない!今確信した、彼奴の父親は・・・し――――――



 ドゴォン!!



 「ぐ・・・・・・お・・・!?!」

 「いっ・・・つつつ・・・。」

 高威力の打撃で脳天を揺らされてはいくら彼でもひとたまりもない。

 バルロクスはゆっくりと傾き、地響きを立てて倒れた。

 「お〜、痛え・・・。
  俺の勝ちだな。
  ・・・・・・・・・辛勝にも程があるが。」



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