「・・・・・・良かろう・・・参る!!」

 察してか察さずか、バルロクスは地を蹴った。

 当然彼は蹄の蹴りだ。
 拳では不利な事を知っている。

 「渾身の一撃で決めてくれる!!」

 「来い!」

 言うと同時に新太郎の体から炎が噴き出した。

 「ぬ!?
  しかし拙者に効かぬは既知!今更何をするか!!」

 答えず新太郎は右手を前に掲げる。

 「はああああああああ!!」

 すると全身の炎が右手に収束した。

 「なっ!?・・・・・・ぬん!!」

 「・・・・・・白虎煌閃!!」



 ドゴォン!!



 「ぬおっ!?」

 「ぐっ・・・!」

 両者は衝撃で弾かれた。

 痺れる右腕を無理に動かし新太郎は構える。

 が、バルロクスは動かない。
 何か激しく動揺しているようだ。

 「・・・何だ・・・?
  ・・・・・・・・・今の技は・・・?
  ・・・・・・拙者の蹄が・・・・・・。」

 バルロクスの硬い蹄に小さなひびが入っている。