「こ、これは・・・。
  まさか先人がいたのか・・・・・・?」

 「いや、恐らく違うな。」

 雷太の言葉をクロが否定した。

 「先人が入った形跡はなかったし、
  それにこの血は非常に新しい・・・・・・。
  これは恐らく・・・・・・・・・!?」



 ズウゥン!!!



 凄まじい音と共に入り口の方面から砂埃が送られてきた。

 どうやら、入り口が塞がれたか崩れたかしたらしい。

 「・・・・・・恐らく、中にいる者の血。
  所謂宣戦布告ってやつだ。
  ・・・・・・・・・随分と歓迎してくれるつもりらしい。」

 「ま、進もうか。
  どうせ『通信機』取るまでは帰る気はないでしょ?」

 ヴァンが促した。

 《いたのかヴァン・・・。》

 「・・・・・・・・・・・・ああ。」



 長い廊下を歩き、再び部屋に出た。

 今度は恐ろしく広い部屋で、壁や柱共に白に統一されている。
 しかも綺麗で崩れや汚れは見当たらない。

 どうやら入り口の部屋は侵入者を騙す為のフェイクだったらしい。

 正面は壁で、左に通り道が開いている。
 小さく見えるがそれはこの部屋が大きいためだ。

 「・・・・・・・・・参ったな・・・。」

 クロがつぶやいた。