第117話 “バルロクスの洞窟”


 「ここが・・・・・・バルロクスの洞窟・・・。」

 「何というか・・・・・・予想通りだな。」

 雷太と新太郎が感想を述べた。

 ぽっかり空いた入り口から階段を下りて最初の開けた場所。

 そこは柱や壁以外何もなく、所々崩れかけている。

 薄黄土色の壁や柱には何かしらの文字や絵が描かれているが、
 かなり古いものらしく解読は二人には不可能だ。

 「でも何で明るいんだ?
  ここ地下だぜ?照明もないのに・・・。」

 「蛍石・・・・・・だねえ。」

 新太郎の問いに答える形でデュークが言った。

 「蛍石?」

 「言わば、光る石さ。
  吸収した光を暗いところで発するんだ。
  一昔前までは一般家庭でも使われていたんだよ。」

 「へえ、そうなんですか。」

 「ただしあくまでも光を吸収し放出する性質上、
  暗所で使うには必ず充光しなければならない。」

 クロが補足する。

 「・・・って事は・・・・・・。」

 「ああ、見ろ。」

 「ん?・・・・・・・・・げっ!?」

 クロが示した先にあったのは血溜まりだった。
 真っ赤な血が大量にぶち撒けられている。