「もうか、早いな。」

 「あくまでも会議名目で来てるからな。
  こちとら悠長に話すほど暇じゃねえんだ。
  アーサーの野郎にも宜しく言っといてくれ。」

 「!」

 雷太ははっとした。

 クロが先日電話していたのはこの為だったのだ。

 本来その地の長が動くには人や金が大量に動く。
 それを秘密裏に呼んだのでクロはアーサーに口裏合わせをしたらしい。

 「いや待て、もう一つだけ用がある。」

 クロが言った。

 聞いていないらしく二人が訝しげな顔をする。

 「おい、雷太。」

 「うわっ!?な、何だよ?」

 ふいに声を掛けられ雷太は驚き返事をする。

 「・・・・・・・・・・・・・・・。
  (龍 雷太・・・・・・クロにため口なのか。
   ・・・・・・噂に違わず中々の実力者なようだな、尊人。)」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。
  (そうだね、見た目に騙されちゃいけない、デイハード)」

 《何か後ろで妙な勘違いまでされている。》

 「お前とデイハード、何か思うものがあるだろ?」

 「「は?」」

 二人は拍子抜けた返事をした。

 もちろん二人は初対面だ。
 もっとも、互いに名前だけは知っていたようだが。

 「お前・・・・・・俺と会った事あったっけ?」

 「いや、無いですよ?
  少なくとも互いの記憶の限りでは。」

 「「・・・・・・・・・???」」

 二人は首を傾げる。