二人は首を傾げる。

 「おいクロ、やっぱり何もないぞ?」

 「いや、あるはずだぜ?」

 「いやでも――――――

 「同じ名前の男とお前は戦ったはずだぞ?」

 「!?」

 「え?・・・・・・デイハード・ウィンスコット?
  ・・・・・・・・・・・・・・・あ!
  もしかしてエイジニアス・ウィンスコットの事か!?」

 「そういえば一緒の名前ですね。
  あのビームぶっ放し野郎と。」

 新太郎が相槌を打つ。

 「そうか・・・・・・。
  お前は兄貴と闘ったのか・・・。」

 「えっ!?兄貴!!?」

 「あのビーム太郎が!?」

 「済まなかった・・・!」

 デイハードは二人に頭を下げた。

 「エイジニアス・ウィンスコットは、袂を別った俺の兄だ。」

 「・・・・・・・・・ま、マジで?」

 「有名な町長の兄が組織PSY?」

 「組織は全てが悪ではない、お前達に然り。
  だが兄は悪の道に自ら進んだ、故に袂を別った。
  しかし、たとえ縁を切っても兄は兄だ。
  唯一の血縁者として謝らせてくれ、済まなかった。」

 デイハードは再び頭を下げる。

 「い、いや俺達は知らなかったし・・・!」

 「組織同士の争いだから頭を下げられても・・・・・・なあ?」

 雷太と新太郎は大慌てである。

 「ま、そういうわけだ。
  ・・・・・・・・・・・・協力するよな?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かった。」

 デイハードは借りや貸しが嫌いな男。
 そこをクロは巧みに突いた。
 微妙に卑怯な気がするが気にしてはならない。

 「表向きでも協力してやる。
  その代わり、町で暴れたりするんじゃねえぞ?」

 「ああ、十分だ。」

 「それなら、水の町もそうするしかないねえ。」

 椎名も諦めて言った。

 ハニホヘト大陸まではかなりの距離。
 どうやらクロは拠点を得る為に策を賭したらしい。

 賭けは成功だ。



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