「・・・・・・全く・・・此れだから人間は・・・。」

 そうつぶやくと猫は、後ろ足で立ち上がり、
 背のポーチから煙草を取り出して吸いながら行ってしまった。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 雷太はその姿が見えなくなった後もぽか〜んと廊下の向こうを眺めている。

 「・・・・・・アズキさんって・・・・・・親戚いたっけ?」



 雷太は廊下を走る。

 クロの家にいるという事は確実にクロは何かを知っている。
 気になったのでそれを聞きに行くのだ。

 本来なら氷雨に道案内してもらいたいところなのだが、
 現在の居場所を知らない以上そういうわけにもいかない。

 約1時間後、ようやく雷太はクロがいる部屋にたどり着いた。

 「な・・・・・・・・・長かった・・・。」

 ノックもせずに部屋に入る。

 「クロ、ちょっと良いか!?」

 「あ?」

 良くみるとクロは電話をしている。

 「いや、何でもない。
  悪いな、少し待っててくれ。」

 「・・・・・・?」

 「雷太か、今俺はアーサーと話すのに忙しいんだ。」

 「ご、ごめん・・・。
  じゃあ終わるまで待って――――――

 「大事な話しな上にかなり長くなる。
  悪いが、また後日聞こう。」