第111話 “不思議な白猫”


 クロの家に集まってから数日後、
 『バルロクスの洞窟』に行く数日前。

 雷太はクロの家の廊下を歩いていた。

 興味がある本があるので、図書室にやって来たのだ。

 御目当ての本も見つかり、上機嫌である。

 《クロがいる部屋に一人で行けないから勝手に持ってったんだけどな。》

 「良いだろ別に。
  ちゃんと返せばクロそういうのは気にしないし。
  ・・・・・・・・・・・・・・・ん・・・?」

 廊下の向こうで何か小さな物体が動いている。

 「何だ?レインさんか?」

 どうやら色は白いようだ。
 こちらに少しづつ近づいてくる。

 「一回床から手だけ出してて凄いびっくりした事があったけど・・・。
  ・・・・・・・・・・・・・・・あれ?・・・・・・猫?」

 歩いてきたのは猫だ。
 体に巻くタイプのポーチが背についている。

 「クロって猫飼ってたっけ?
  まあ似合うけど・・・・・・名前がクロだけに。」

 猫はゆっくりと廊下を歩いてくる。

 そして雷太の横を通りすぎようかという所で急に止まった。

 「よう。」

 「!??」

 何と猫が声を掛けてきた。
 ちなみに声は非常に渋い。

 雷太は驚きの余り固まってしまった。