「・・・・・・!
  あ、待って!啓太君!」

 「・・・・・・・・・・・・。」

 「啓太君、今暇?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 啓太は何も言わず頷いた。

 「じゃあ、私と鬼ごっこでもして遊ばない?」

 「・・・・・・・・・・・・。」

 啓太は何も言わず頷くと、レインに向かって手を出した。

 「?・・・・・・あ、じゃん拳ね?
  よ〜し、最初はグー、じゃんけんぽん!」

 啓太はグー、レインはパーだ。

 「じゃあ啓太君が鬼ね、1分数えたら捕まえに来て?」

 そう言うとレインは廊下を素早く飛んでいった。



 1分後、レインは一本道の廊下の真ん中に立っていた。
 これだと前後を交互に確認するだけで啓太が来るのが分かる。

 「うふふ。
  実は私、今まで鬼ごっこで捕まった事ないのよね。
  だって幽体だから壁抜けが出来るんだもの。
  さ〜て、啓太君は前後どっちから来るかしら・・・・・・?」

 レインはご機嫌だ。
 ・・・・・・が、その時――――――



 カタッ



 レインの真正面から妙な音が響いた。
 しかし真正面は壁だ。

 「・・・・・・おかしいわね?気のせいかしら?」