―――30分前―――

 レインは廊下をふわふわと飛んでいた。

 「・・・・・・暇ねえ・・・。どうしようかしら・・・・・・?
  クロさんは今『お客さん』が来てるから、いつもみたいに遊んでくれないし・・・・・・。」



 「ちょっと待ったあ!
  クロが遊んでくれるの!?いつも!!?」

 「?・・・はい、そうですよ?」

 「・・・・・・マジかよ・・・。
  俺や新太郎や霞ちゃん(通称『遊び人三人組(トリオ)』)が
  遊びに誘ってもいつも仕事やら何やらで断るくせに・・・あの野郎・・・・・・。
  (そのくせいつの間にかちゃんと最新映画とか観てやがんだよな・・・。)」

 「え?仕事中でも遊んでくれますよ?」

 「うそおっ!!?
  俺仕事中に部屋に入ったら殺されそうになるよ!?」

 「そうですか?
  今日みたいにお客さんが来ている時とか以外は、
  仕事を中断して私と遊んでくれますけど・・・・・・?」

 「・・・・・・・・・・・・。
  (何故だクロ、何故お前はレインさんにだけは優しいんだ!?)」

 「あ、もう続けて良いですか?」

 「あ、ごめん。どうぞ。」



 レインは考えながらふわふわ浮いていた。

 「う〜ん・・・、何して遊ぼうかしら・・・・・・。」

 考えるのに集中する余り顔半分が壁にめり込んでいる。

 すると、前から啓太が歩いて来た。
 相変わらずの無表情で、滑るように歩いて来る。

 「・・・・・・・・!こんにちは、啓太君。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

  啓太は何も言わず会釈し、そのまま行こうとする。