「移動魔法『音源行空――――――

 「キャ―――キャ―――!!」

 「・・・・・・・・・・・・。」

 雷太は魔法詠唱を途中で止めた。
 当然、魔法は発動せずに終わる。

 「・・・・・・?・・・おかしいな・・・・・・。
  叫び声が段々近づいてくる・・・?
  ・・・・・・ま、こちらとしては好都合だけど・・・。」

 「キャ――――――!!」

 「・・・!・・・相当近いな・・・。
  ・・・・・・あれ?でもおかしくないか?」

 雷太のいるところは長い一本道の廊下で、
 左右の壁以外には窓も扉も階段も無い。

 「だからそろそろ前か後ろに姿が見えても良いんだけどなあ・・・・・・?
  ・・・・・・しかも声だけで足音一つ聞こえないし・・・。」

 雷太は前後をきょろきょろと見回す。

 「キャ――――――!!」

 「!すぐ近くだ!?
  ・・・・・・でも未だに姿が見えない・・・?
  ・・・・・・・・・ったく、一体どうなって――――――

 「キャアアアアぁぁぁぁぁ!!」

 突如人が壁から飛び出してきた。

 「うおおっ!?なんじゃこりゃああ!!?」

 雷太は尻餅を付く。

 《ぶつかるっ!?》