第100話 “壁抜け鬼ごっこ”


 雷太はやっとクロの家に辿り着いた。

 「・・・・・・ここからが問題だな・・・。
  まあ玄関は・・・・・・。」

 雷太は扉に手を掛けた。
 鍵が掛かっておらず、簡単に開く。

 「やっぱり開いてたか、氷雨さんがいる時は閉まってるのに・・・。
  相変わらずクロは無用心だな。」

 そう言いながら雷太は家の中に入った。



 10分後、雷太は見事に迷っていた。

 「・・・・・・迷った・・・。
  ったくなんつー家だよ、よく氷雨さん迷わねーな・・・。
  ・・・・・・あ!?よく考えたら俺クロがいる部屋知らないぞ!?
  ・・・・・・・・・・・・どうしよう・・・・・・。」

 「キャ――――!!」

 「・・・?何だ?女性の悲鳴・・・?
  ・・・・・・ま、まさかな。こんなところで・・・。」

 「キャ―――――!!助けて―――!!」

 「!?・・・・・・やっぱり・・・。
  ・・・仕方ない、よく分からないけど助けに行くか。
  ・・・・・・とはいえ、場所も誰かも分からないしな・・・。
  やはりここは『音源行空間移動』か・・・・・・。」

 『音源行空間移動』とは聞こえた音の発生主のもとへ瞬間移動する魔法である。

 「さて、やるか。」

 雷太は精神と魔力を集中した。