雷太は店員休憩室へやって来た。勤務は30分後からだ。
雷太がぼ〜・・・っとしていると、突然誰かが入ってきた。
「雷太、久し振り。」
入って来たのは、青髪に赤い瞳を持つ青年だ。
「!!『瞬』じゃねえかっ!久しぶりだな!」
「ああ、3年振りか・・・。」
彼の名は『由ヶ原 瞬』(ゆいがはら しゅん)。
雷太と同じぐらいの背の男で、年は18歳。
髪は落ち着いた青なのだが、まるでその色を反映するように彼は冷静沈着だ。
雷太と殆ど同期に入ったので、そのせいもあってか仲の良い友人である。
2人はテーブル越しに向かい合って椅子に座った。
「・・・なにか変わった事があったか?」
雷太が聞いた。
「・・・・・・特に無いな・・・。強いて言えば『優子ちゃん』がここで働き始めたぐらいだ。」
「へ〜。あの優子ちゃんが?」
ちなみに『優子ちゃん』というのは、石田 優一の娘で本名『石田 優子』。16歳。
ウェーブのかかった髪をツインテールにしてリボンで留めているかわいい女の子だ。
「ああ、今ではこの店の看板娘になってるぜ。・・・・・・あ、でも今日は来てないな、休みだ。」
「へ〜。・・・ときに『燃』(ねん)はどうした?姿が見えねえけど・・・・・・。」
『燃』とは、瞬の双子の弟だ。
「・・・あいつか・・・。はぁ・・・。・・・・・・また遅刻だ。」
瞬はため息をつきながら言った。
「・・・マジかよ。3年前も毎日してなかったか?」
「・・・ああ。今日もちゃんと起こしたんだがな・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・!・・・・・・噂をしたら来たらしいな。」
「・・・オオオオオオオオオオオオ!!」
叫び声が近づいて来たかと思うと、休憩室のドアがバン!と激しく開いた。
「たは――――!!遅れちまったぜぇい!!!」
入って来たのは赤髪に青い瞳を持つ赤青年だ。
彼の名は『由ヶ原 燃』(ゆいがはら ねん)。
瞬とは双子の兄弟なのだが、これ程似ていない双子も珍しい。
見た目には髪の色以外全く同じなのだが、性格がまるっきり正反対なのだ。
一方は冷静、一方は熱血。見ているだけでもこんがらがってくる。