雷太は背の大剣にてをかけた。

 ・・・・・・が、剣を抜くことなく、柄(手で握る部分の事)から手を離した。

 「・・・?・・・抜かないのか?」

 不思議に思ったIFPの青年が聞く。

 「ああ、剣じゃなくて、俺の一番得意な魔法で相手してやる。」

 「・・・・・・そうか。」

 そう言うとIFPの青年は構えた。

 まず左足を前に出して足のスタンスを縦に広げ、刀の柄を両手で持ち、それを頭の右横にもってきた。

 刃は上空を差し、切っ先はしっかりと雷太に向けられている。

 「IFP空軍部三等兵、ラドクリフ・ランバージャック・・・・・・・・・参る!」

 「・・・・・・・・・。(やっとこいつ名前出やがった・・・。名前分からない小説のキャラは読者の敵だぞある意味。)」

 そう思いながらも雷太は構えた。(殆ど、スタンスを広げて腰を落としただけだが。)

 とたんに場の空気が変わる。

 さっきまでのまぬけ面とは違い、今の雷太の表情は真剣そのものだ。

 「・・・・・・・・・行くぜ。」

 ラドクリフの頬を冷や汗が伝う。

 「・・・・・・。(・・・くっ・・・何て威圧感だ・・・。今までとはまるで別人。・・・・・・流石は“強大組織”『ブラックメン』副総長、
  そんじょそこらの悪党とはレベルも戦闘経験も違う・・・。だが、俺も負けるわけにはいかんのだ!正義の為に!!)」

 ラドクリフは刀を構えなおした。日本刀特有の乾いた金属音が響く。

 もはや風の音もしない。

 ――――――静寂。

 ・・・空気が・・・・・・張り詰めていく・・・・・・。



 ダッ!!!



 二人は同時に地を蹴った。







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