・・・・・・ゴオオオオオオオオ・・・・・・。

 ここはエクセスの街の上空2000m。風が強く、普通の鳥や飛行機はここにはいられない。簡単に吹き飛ばされてしまう。

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 そこに一人の人物がいる。この大風の中、髪さえ揺らがずに空中に立ち、下を見下ろしている。

 「・・・あれが・・・、龍 雷太・・・。」

 ズボンのポケットに両手を入れ、下の一点を見つめている。オレンジ色の髪だ。

 「・・・・・・・・・・・・『鍵』・・・・・・か・・・。」

 真っ白なホワイトシャツには何故かチューリップ形の名札が付いていて、それにはこう書かれている。

 『ジョー・ディヴィル』

 「・・・・・・全ては始まった。彼が動くことによって。」

 彼は更に続ける。

 「・・・これで全ての者が動く。
  ・・・・・・様々な組織の強者達、
  そして組織外の者達も・・・・・・。」

 ディヴィルは、ため息をつき空を仰いだ。天は雲一つない快晴だ。

 「・・・・・・・・・俺は・・・どうするかな・・・。」

 彼は静かに言った。

 「・・・・・・・・・・・・・・・。
  移動魔法『空間歪曲転位(ワープ(warp))。』」

 音もなくディヴィルは一瞬で消えた。まるで、元から誰もいなかったようだ。



 この世界では、ただ強さだけがものを言う。
 強き者は先へと進み、弱き者はただ止まるしかない。



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