やがて職員室も扉が開き見覚えの有る顔が入って来る。

 「皆さん、彼女が本日より一時的にこの学校の教職に付いて頂ける、
  若き天才魔道科学者:アシロ・ルクレシア教授です!」

 教員の一人が紹介し拍手が湧き起こる。

 少女は満更でもない顔で礼をした。

 「如何も、盛大な御迎え有難う御座います。
  恐らく長くても2年と短い期間ですが、
  出来れば此の若輩者を宜しく・・・・・・・・・ん?」

 言い終わらないうちに教授の目に唯一人拍手もしてなければ笑顔でも無い者が入った。

 「君は・・・・・・。」

 「あ?・・・・・・・・・何だお前か。」

 途端に静かになり一人の教員が柊を注意し様としたが、
 その前に教授が前に飛び出した。

 「あ?何だよ一体うおっ!!?」

 そのまま懐から出した紫色のガスを大量に吹き付ける。

 「ごほっごほっ!
  な、何しやがる!?」

 「あはは、やっぱり面白いな君は。
  此のガス、直ぐ空気分解されるんで周りには影響無いが
  此れだけ吸ったら誰でも即死のはずなんだが。」

 「なっ・・・!
  何考えてんだてめえはっ!」

 「まあまあ、で、君の名前は何だっけ?
  確か・・・・・・、ほくうえがみとか呼ばれてたっけか?」

 「・・・・・・・・・・・・ふん。
  袴田教員、俺は帰るぞ?」

 「え?ああ。・・・・・・良いのか?」

 「話す気も無ーよ。
  じゃあな。」

 柊は教授を素通りし職員室の扉を通る。

 「あらら、残念。
  じゃあまたいずれね・・・・・・『北上神(きたにわ)君。』」

 「!
  ・・・・・・・・・・・・ああ。」

 生まれて初めて読みを当てられた・・・・・・気がした。



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