「ぎゃあああああああ!!!」

 「五月蝿えよ。」

 男が壁を背に崩れ落ちた。
 腕があらん方向に曲がっている。

 「な、何なんだよてめえは!?
  腕が!俺の腕があああああ!」

 「別に、唯邪魔だっただけだよ。」

 答えた氷の様な髪の男。
 その無表情は何か恐ろしいものを感じさせる。

 「し、知ってるぞ!お前青院の北上神(きたうえがみ)だろ!?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「良いのか!?退学寸前だって聞いたぞ!?
  これ以上問題を起こしたら――――うぐっ!?」

 きたうえがみと呼ばれた男は相手の頭を掴み持ち上げる。

 「知った事か。
  それにな・・・・・・俺はそんな名前じゃねえ!!」

 男の掌底が相手の折れていない腕に直撃した。

 「ぎゃあ!?」

 両腕がだらりと下がる。
 相手はそのまま気絶した様だ。

 「両腕ダメージ個34%。
  自然治癒確率100%・・・・・・、おい。」

 物陰にいた者がびくっと体を震わせた。
 女だ、両腕を折られている。

 男がゆっくりと近付いた。

 「大丈――――――

 「こ、殺さないで!!」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」