と、聖子がくるっと雷太の方を向いた。
 その顔はにっこり笑っている・・・・・・。

 「・・・・・・雷太様、雷太様は時間が危ないので、
  此処は私に任せてどうぞクロさんのところへ行って下さい。」

 「・・・え!?・・・いや・・・で、でも・・・・・・。」

 「行・っ・て・下・さ・い・。」

 「はい!分かりました、では行って参ります!!」

 そう言うと雷太はクロの家へ向かい走り出した。

 《怖くなったんだな・・・・・・。》



 5分後、すっかり後ろも見えなくなり雷太は考えた。

 「・・・・・・っていうかなあ・・・。
  聖子ちゃんはあいつらと一緒で大丈夫だろうか・・・。」

 あくまでも牛魔共の事を無視する雷太であった。

 「・・・・・・よし!俺も男だ!
  もし聖子ちゃんの悲鳴が少しでも聞こえたら駆けつけ――――――






 





 「・・・・・・・・・・・・・・・。
  さあ、行こ行こ。
  (俺は何も聞かなかった。俺は何も聞かなかった!俺は何も聞かなかった!!)」



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