第95話 “毛だらけハートちゃん”


 「で、でーとぉ!?」

 雷太はすっとんきょうな声を出した。
 流石に意外すぎる、そして想像したくなかった。

 「はぃ〜
  グヒグヒヒググヒヒ―――!!」

 「・・・・・・・・・・・・。
  (ぎゃあああああ!
   ・・・・・・・・・待て、とりあえずここは落ち着くんだ。)」

 雷太は深く深呼吸をし、

 「ごめんよ。
  君達の気持ちは嬉しいけど僕には好きな人がいるし、
  それに・・・・・・僕は誰のものでもない。
  ファンのみんなのものなんだよ・・・・・・!
  だから、・・・みんなは今日は家に帰れ!!
  そして暇な時でいいから、鏡を少しでもみてくれ。
  ・・・・・・・・・それじゃあみんな、・・・アディオス!」

 と雷太は出来る限り爽やかさを目指して言った。

 「・・・・・・・・・・・・・・・。
  (・・・・・・つ、伝わったか・・・?ほらお前等、帰れっ!)」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「ありがとぉございますぅ〜

 暫くの沈黙の後、そう言いながら牛魔共はますます近づいてきた。