第91話 “嶺雲 光魔”


 雷太や他のものが見届ける中、シュルブは男を館外に出した。

 「てめえ!ふざけんじゃねえ!」

 やっと放してもらった男は手を振り上げて威嚇をする。

 しかし、シュルブには何の効果もないようだ。

 「本を大切にしない人は図書館にいる資格も必要も無いでしょう?」

 「うるせえっ!」

 男は殴りかかったがシュルブはひょいとよけた。

 「とりあえず、今日は帰って下さい。」

 「この・・・・・・!」

 「シュルブ、何してるのよ?」

 二人が声の方を向くと、二人の少女が立っていた。

 「うおっ!可愛い・・・!
  ・・・じゃなくて誰だてめえら!?」

 「失礼な男に名乗る名なんてないわよ。」

 「なっ・・・!」

 「ミルフィ・・・どうしたの?」

 「あっ!コラっ・・・!?」

 拍子抜け、ミルフィは頭に手をやった。

 「全く・・・、今日はこの子と勉強しに来たのよ。
  せっかくだから良い本を紹介してあげようと思って。」

 「こんにちは!」

 薄紫色の髪の少女が礼儀正しくお辞儀をした。

 「こんにちは。」

 シュルブも同じように返す。