第90話 “エクセス図書館員シュルブ・ルスト”
「はっ!」
雷太は机上で飛び起きた。
どうやら元の世界に戻って来たらしい。
本は既に光を失い、何も書かれていないページが開いている。
「いや〜・・・凄かった・・・・・・けど・・・。」
雷太の顔に嫌な汗が流れた。
「倒せてねえのかよ・・・。
いずれ復活するって・・・・・・どうすんだ?」
雷太は魔王オリシオンが人々に放った、
相当強力な古代魔法を思い出した。
あれで涼しい顔をしていたのだから更に強力な魔法も使えるのかもしれない。
「2000年前だからファントム確実に死んでるしな・・・。
・・・・・・こいつもしかしてあの『氷鬼ティノス』より強いんじゃねえのか?
どうやって倒すまたは再封印するんだよあれを・・・・・・・・・?」
しばらく頭を抱えていた雷太だったが、
やがて頭を振って立ち上がった。
「まあ考えてても仕方がないな。
それに多分俺の時代では復活しないだろうし。」
まあ確かに2000年解けなかった封印が、
雷太が生きているうちに解ける確率はそう高くない。
《甘いなあ、小猿は・・・。》