雷太はここに『ジョー・ディヴィルの本:伝説 Ver.1』を探しに来た。
発行順に読んでいて、この本のみ欠けていたのだ。
とはいえ真っ赤な表紙に金色の装飾文字だけが書かれたシンプルな本。
特設コーナーが設けられていた助けもあり、すぐに見つける事が出来た。
「全く・・・・・・、何でこの本だけ無いんだよ?」
雷太は愚痴りながら手頃な机を探す。
クロの家に『ジョー・ディヴィルの本』は大量にあり、
中には数冊しか発行されていないはずの貴重なものもあった。
しかし、かなり量産されたはずの
『伝説 Ver.1』だけが無かったのだ。
クロに聞こうとしたが、この名前を聞いたとたん
「図書館に行け。」
と言われさっきまで良かった機嫌が急に悪くなってしまった。
クロはこの本に何か嫌な思い出でもあるのだろうか?
とはいえ何も知らない雷太、
特に気に留めることなく図書館に来たわけだ。
そして雷太はようやく手頃な机を見つけた。
周りには誰もいなく、広い机を一人占拠だ。
向こうで何やら少々騒いでいる者がいるが、
仕方ないので放っておくことにする。
まともな図書館職員ならいずれ注意するだろう。
雷太は本を静かに開いた・・・。