第82話 “エクセス街立図書館”


 エクセス街立図書館。

 かなり古い建物で、それ相応の歴史と名があるらしい。

 レヴ・トーア市立図書館に匹敵する程の蔵書数を誇り、
 常人では一生掛けても読めない程である。

 そこへ雷太はやって来た。
 メリーストリート等を歩き、
 この季節には異例の暑さとサインを求める声の嵐と格闘しながらの到着である。

 《小猿のくせに生意気な。》

 雷太は自動ドアから中に入った。

 《自動ドア!?》

 古いのは外見のみで、中には最新の設備が揃っている。

 「ああ〜、涼し〜♪」

 雷太はハンカチで汗を拭きながら言った。

 外が熱い中、図書館はクーラーが効いているので天国である。

 とはいえ雷太も遊びに来たのではない。

 「さて、ジョー・ディヴィルの本はどこかな・・・?」

 クロの家にない本を探しに来たのだ。

 クロの家は非常に多くの書物があるが、
 雷太がいない時に約半分程の要らない本をここに寄贈したらしい。
 その中には貴重な本やジョー・ディヴィルの本も入っている。
 本人にしては『一度読んだし別に良い。』らしい・・・・・・。
 金や貴重品を持っていてもそれにこだわらないのがクロの良い所なのではあるが。