第76話 “煙の中にいし者”


 爆発するはずのないランプが爆発した。
 爆発自体は全く大した事ないが、妙に煙が舞っている。

 「こほこほ、雷太さん、見えませんけど大丈夫ですか?」

 どこからか氷雨の声が聞こえた。

 「ごほごほ、・・・あ、大丈夫ですよ〜?」

 雷太も適当に返事を返した。

 「ここにいたか、こっちだ。」

 「あ、クロ。」

 流石にヘビースモーカーな為か、
 クロは全く咳き込まずに雷太を煙から引きずり出した。

 「立てるか?」

 「ああ、体に影響はないし頭もすっきりだ。」

 そう答えると雷太は立ち上がった。

 「そうか、じゃあ早速だがこの煙を吹き飛ばしてくれ。
  既に窓を開けておいた。あいつらがうるさいしな。」

 「ぎゃー!助けてー!」
 「まえがみえない〜!」
 「ぼ、僕はここまでだ!後は君たちだけで行け・・・!」
 「隊長!たいちょおおおおお!!!」

 「あ、ああ・・・・・・。(何してんのデュークさん達!?)」

 雷太は呆れながらも片腕を煙へ向けた。

 「風魔法『吹きぬける微風(ハイ・ブリーズ(high breeze))』。」



 びゅおおおおおおぉぉぉぉ・・・



 結構強い風が雷太の片腕から出ているのだが、
 煙が重いのか少しづつしか窓から出て行かない。