第70話 “ニフェリアス・ヴェノイリクス・ドルフェンツ”


 早朝、空にはシラケ鳥。

 「いらっしゃいませ〜。」

 ここは某超有名ハンバーガーショップ。
 いつもの如く、雷太は店に出ている。

 「うい〜っす、雷太。」

 店員用入出口から、濃灰色の髪の男が出てきた。

 「おう、今日は早いな、ニフェ。」

 「まあな〜、眠いですわ〜。」

 彼の名は『ニフェリアス・ヴェノイリクス・ドルフェンツ』。
 たまにここにバイトに来る男だ。
 髪の色は濃灰色で年は19歳、身長は珍しい事に雷太より低い。
 温和でマイペースの良い男で、寝る事が大好きらしい。

 「仕事中に寝るから早朝出勤の罰受けるんだぜ?」

 「まあなあ・・・、しかし眠いです・・・・・・。」

 普段ニフェはこの時間には絶対入らない。
 本来温厚な男なのだが、寝る事を邪魔される事は嫌いらしく、
 先日仕事中に居眠りをしていたところを起こされ、寝ぼけ眼で石田にキレてしまったのだ。
 その罰を受け今日は早朝出勤らしい。

 「ふぁ〜あ〜あ〜・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・。」

 最も、さっきからあくびばかりしているが。

 さっきも書いたとおり、彼はバイトである。
 不定期に入り、責任も軽い為罰を受けたのであろう。

 と、雷太が仕事をしていると石田から声を掛けられた。

 「雷太君、君にお客さんが来てるんだけど?」