第67話 “壁−バシュティクカ−”


 戦闘に突如割り込んだ真守。
 高等魔法を受けたはずの体は、傷一つついていない。

 「てめえ・・・・・・、何のつもりだ・・・!?」

 膝をついて荒い息を吐きながらエイジニアスは噛み付くように言った。

 「・・・・・・時間よ。」

 真守は後ろを見ずに言い放った。

 その目は雷太に向けられている。

 雷太も魔力を使いすぎてギリギリだ。
 真守が強いかは不明だが、高等魔法が効かなかった。
 今戦うと正直非常にまずい・・・・・・。

 「私達の目的は本当は貴方達の抹殺じゃないわ。」

 真守は静かに言った。

 「・・・・・・どういう事だ?」

 どう見てもエイジニアスもセンも殺しにきていた。
 今更殺しが目的ではないと言われても信じられない。

 「私達の本当の任務は貴方達の実力、
  強大組織『ブラックメン』の副総長の実力をはかること・・・。
  その為に殺す気で戦ったの・・・・・・殺されるようじゃ話にならないから・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・結果、センは倒されエイジニアスも危ない状況だった。
  私達が決めた20分という時間制限の中で・・・・・・。」

 「・・・・・・。(新太郎は勝ったのか・・・・・・。)」

 「正直予想以上だったわ・・・。
  悪いけど今日は引かせてもらう・・・。」

 「・・・・・・待てよ・・・。」

 雷太は一歩前に踏み出した。

 「勝手に責めて来て勝手に帰る・・・?
  ふざけてるのか・・・・・・?
  俺はそいつと決着を付ける・・・・・・!」

 「面白え・・・・・・。」

 エイジニアスが立ち上がった。

 「来いよ・・・・・・ぶっ殺してやるよ・・・。」

 二人は構えた。