第60話 “月、刃、拳、金、光線”


 魔道封印−アテリア−が完了した。

 クライヴはぐったりして動かない。
 体の動きどころか、魔力が魔力で拘束されている。

 雷太は再び横の機械を操作し、魔道封印−アテリア−をしまう。

 「とりあえず、出よう・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・。」

 皆は一瞬目を逸らした。

 重い鋼鉄機械製の扉を・・・・・・ジェットが壊してしまった。

 長い階段を上がり、ルーン・シエイア外れの高い塔下へ出る。

 当然、周りには誰もいない。

 「本当に・・・・・・済まん!!」

 ジェットが深く頭を下げた。

 「い、いえ・・・まあ扉は不可抗力ですし・・・。」

 「後で俺が治す手配をしておきますので・・・。」

 リーネと雷太が慌てて答える。
 流石にこの人を怒るのは気が進まない。

 「いや、扉ならまだしも遅刻までした身・・・。
  許されるとは思わん!・・・・・・俺を殴れ!」

 「・・・え、ええ!??」

 「そんな事・・・なあ?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「いや、さあ殴れ!・・・さあ!!」

 「い、いや・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」