「組織が活動してない!?・・・・・・どういうことだよ?」

 雷太は驚きの余り聞いた。3年前、彼が旅立つときには絶好調活動中だった。

 その様な事をいきなり言われても、信じる事は出来ない。

 クロは落ち着いて言った。

 「・・・正確に言うとな、今現在『停滞期』なんだ。」

 「・・・『停滞期?』」

 雷太は聞いた。そんな言葉聞いたことも無い。

 「・・・まあ聞け。・・・今から3年前、・・・お前が修業に行った後だな。
  『ある組織』が世界中の弱小組織を徹底的に潰しまくった。
  故に規模の大きい組織ばかりが残り、正に一触即発の事態になってしまった・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・。」

 「・・・そんな中で考えもなしに動くわけにもいかないだろう。」

 「なんで?」

 「この緊張状態だと、動いたものから先に一斉攻撃を受ける。
  流石に複数の組織から攻撃されると事だ。
  また、それがないにしてもどうしても大きい組織同士がぶつかるとそれ相応の被害が生じる。
  仕方ないのかもしれないが、これから世界を狙うに当たって、それは出来るだけ避けたい。
  こんなところか。結局動けないんだ。問題が多すぎてな。」

 「・・・・・・・・・・・・。」

 雷太は黙ったままだ。

 「・・・どうした?」

 「・・・・・・クロらしくねえな・・・。」

 雷太はつぶやいた。聞いたクロが眉を上げる。

 「確かにそりゃあ、その状況じゃあ動けないのは分かるけど・・・・・・。
  動けないから動かないなんて、クロらしくねえよ。」

 クロは微笑した。

 「・・・・・・・・・・・・まったく・・・、お前は『昔』からちっとも変わってないな・・・。」

 「・・・・・・・・・。」

 「・・・安心しろ。ちゃんと策は練っているんだ。
  もしこのままこんな下らない状況が続けば・・・・・・、無理やりぶち壊してやるまでだ。」

 クロは微笑っている。凄みのある微笑だ。

 雷太は気圧されるとともに安心した。クロがそこまで言うなら、問題は無いに違いない。

 「そ、そうか。それならいいんだ。」