「ちょうど昼だ。昼食でも食べていけ。
  ・・・・・・まあ、それ目当てでもあったんだろうがな。」

 「やっぱバレてるか・・・。
  まあ、久し振りに会いたかったんだがな。」



 彼の名は『ウオルター・ハイドレート』。
 名前から分かるように、彼はウォルフの父親だ。
 実はここ『魔法都市:ルーン・シエイア』の市長である。
 ただ、昔ウォルフやシーバスと一問答あったらしく、
 和解した今でも彼等は学校の宿舎に住んでいる。
 何があったかは不明だが、雷太とは仲が良いらしい。



 豪華な昼食が運ばれ、彼等は食べながら話をする。

 「・・・・・・封印か・・・。」

 ウオルターがつぶやいた。

 「ああ、俺達の役目だからな。」

 「・・・・・・期待している。
  あの馬鹿息子等も多少の力にはなるだろう。」

 「大いになるぜ?
  しかしお前も丸くなったよな〜。」

 「ふん・・・・・・。」

 ウオルターは目をそらした。

 良く見ると、グラスを持つ手が震えている。

 「そこまで怖いのか?
  クライヴ・キーファーってやつは。」

 雷太が聞いた。

 「・・・・・・そういえばお前は『あの時』いなかったな・・・。
  ・・・・・・・・・ああ。・・・・・・あいつは悪魔だ。
  最も力を持ってはならない者が持ってしまった典型。
  雷太・・・・・・・・・頼むぞ?」

 「・・・・・・任せとけ!」

 雷太は笑った。
 つられウオルターも静かに笑う。



 地下牢。

 光は届かない。

 何も見えない。

 「くっ・・・くくくくく・・・。」

 静寂に笑声が響いた。

 彼は欲望の支配者。



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