「まあ、そうかみつくな。
  詫びにかの者を連れてきてやった。光栄に思うといい。」

 「・・・かのもの?」

 「我が下僕の一人『ジェット』に決まっているだろう?」

 「げっ・・・!?」
 「うそ・・・。」
 「マジですか?」

 それぞれが感想をもらす。

 「どうした?喜ばぬのか?」

 「いや・・・、でもなあ・・・。」

 「安心しろ。魔力の制御なら多少は出来る。」

 いつの間にか開けっ放しだった障子に彼が立っている。

 「本当ですか?」

 雷太が聞いた。

 《敬語!?小猿が?》

 「ああ、修行の末多少なら出来るようになった。
  重大な事故少しでも手伝いのだが迷惑ならば帰ろう。」

 「いや、多少扱えるなら十分です。
  ・・・な?そうだろ?」

 回りも肯定する。
 少しでも注ぐ魔力が多いのが良い事に変わりはないからだ。

 「そうか、なら有難く居させて頂くとしよう。」

 彼は姫子の横に座った。



 彼の名は『ジェット・ジェイハザード』。
 25歳の黒髪の男で、背は多少高い。
 通称は『拳帝』。その手には機械性のグローブを着けている。
 ただし彼、以前書いたが実は魔法が全く使えないのだ。
 その体内に溢れる魔力を評価されて第一級魔導士となっている。
 ただ、魔力は相当に膨大なものらしく、大きな戦力になるだろう。



 「さて・・・、揃ったな・・・。」

 雷太が言った。

 「じゃあ、話し合おう。
  『クライヴ・キーファーの封印』をどうするかを。」



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