第50話 “真(しん)”


 「うわ―――!!!!!」

 ここはどこかの砂漠。

 ベージュ色のフードをすっぽり被った者が、何かに追いかけられている。

 「誰かー!助けてや〜!!」

 《追いかけているのは・・・・・・熊?》

 正式名称『砂熊』だ。
 砂漠に住む熊だが、悪質な環境下にいる為か性格は非常に凶暴。
 しかも砂漠では非常に俊敏である。
 残念だが、この者もじきに追いつかれてしまうだろう。

 「た、助け・・・・・・へぶっ!」

 フードの者は転んだようだ。
 あっという間に砂熊が追いつく。

 「・・・ぺっぺっ!・・・!?うわー!」

 砂熊の右腕が振り下ろされた。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・おい。」

 「・・・・・・・・・え?」

 フードの者は目を開けた。

 自分は何ともない、それどころか・・・・・・、

 金髪の男が、・・・・・・熊の右腕を受け止めている。
 ・・・・・・それも片手で。

 「おい、少し下がれ。危ねえぞ?」

 「・・・・・・・・・があっ!」

 砂熊は左腕も振り下ろすが、それも受け止められた。

 「は、はいっ!」

 フードの者は慌てて後ろに下がる。

 「おい雷太!」

 「おうよ!」

 フードの者が振り向くと、もう一人が手を砂熊へ向けている。