部屋の中は真っ暗だった。

 「あれ?」

 それも何も見えないほどだ。

 「・・・おかしいなぁ。氷雨さんはこの部屋にクロがいるって言ってたのに・・・。」

 雷太は部屋の中に入った。

 部屋の中を歩きながら、電気のスイッチを探す。

 「え〜っと、電気電気。」



 スッ・・・



 突然、雷太の喉(のど)もとの目と鼻の先に、一本の刀が現れた。

 刃は彼に向けられている。

 「・・・!うおぉっ!!?」

 雷太は慌てて後ろにスウェー(上体反らし)し、避けた。

 「ほう、よく避けたな。」

 冷静な声とともに、部屋の電気が付けられた。

 そこには刀を水平にかざした人物がいた。



 彼の名は『氷上=P・クロ』。
 年齢不詳だが見た目には20代前半の黒髪の男で、
 白いホワイトシャツと黒いスラックスを着、黒いネクタイを締めている。
 常に冷静沈着な剣の達人で、“強大組織”『ブラックメン』の総長だ。



 「ク、クロ!危ねえじゃねえか!」

 雷太が必死に抗議する――――――

 「そうか?」

 ――――――も、軽く流された。

 「まあ、これくらい避けられないとこの世界では生きていけないからな。」

 「ぐ・・・・・・。」

 雷太はぐうの音も出ない。事実、クロの言う事は間違いないからだ。