小さな女の子は立ち上がった。

 「あれれ?雷太ちゃんじゃないの?」

 不思議そうに首をかしげる。

 「いや、・・・俺は龍 雷太だけど・・・・・・。
  (俺は多少は有名だけどやっぱり・・・・・・・・・誰?)」

 「やっぱりぃー!☆」

 女の子は嬉しそうにはしゃぐ。

 そうこうしているうちに、テーブルに座っていた男が、
 この騒ぎに気付いたらしく歩いてきた。

 本を持ったまま女の子に話しかける。

 「『霞ちゃん』、初対面の人にそんな接し方は失礼だよ。」

 「そーかなぁ?『夕ちゃん』。」

 女の子はまたもや首をかしげる。

 「うん、少なくとも雷太くんは、俺達の事を殆ど知らないんだからね。」

 そう言うとその男は雷太に顔を向けた。

 「初めまして、俺の名は『夕闇 建太郎』。この子は・・・・・・。」

 「『天根 霞』でーす!霞ちゃんって呼んでね☆」

 「あ、どうも初めまして。龍 雷太です。」

 雷太は二人をじっと見た。
 建太郎は確かに健そっくりだが、髪は黒いし微妙に違うところがある。
 霞は淡いピンクの髪に薔薇の形の髪飾りを付けていて、背は啓太よりも少々高い。

 「ちなみに、君が知ってる健とは兄弟さ。
  名字が違うのはご愛嬌ってところかな?」

 「へぇ〜、そうなんだ・・・。」

 「君の事は、デュークさんから多少は聞いてるよ。」

 「・・・え・・・・・・・???」

 雷太は少し考えた。