第40話 “人、猫、神”


 自動ドアが開き、人が入ってきた。

 ふと、雷太は目を向ける。

 「げっ!!!」

 雷太は身を伏せた。
 入ってきたのは・・・・・・。

 「ああ、ラドじゃないか。」

 アズキは小さな手を振って彼を呼んだ。
 彼、ラドクリフ=霜刃=ランバージャックを。

 「・・・!?(わ〜、アズキさん呼ばないでくれ〜!!やばいんだってあいつは!)」

 雷太の心の声もむなしく、ラドクリフはテーブルに来た。

 《おい、ラド!ここにいるぜ!小猿!!q( >∀<)》

 「て、てめえ!ユウ!!」

 「御久し振りですアズキさん。・・・・・・?お前もいるのか。」

 「・・・・・・あれ?」

 何か、以前のラドクリフとは違う。
 以前なら、血相変えて刀を抜いたはずだ。



 三人は、テーブルに座った。
 雷太は今度こそ砂糖の入ったコーヒーを。
 アズキはぬるい、皿入りのミルクを。
 ・・・・・・ラドクリフはというと・・・・・・。

 彼には何か特別なものが出された。
 コーヒーのようだが、ボコボコとあわ立ち、金属製の容器に入っている。
 石田に聞くと、あの『毒ガス事件』以来、
 ラドクリフには専用で最初からコーヒーを用意しているらしい。
 通称『ラドクリフテイスト』。常人が飲むと一発でめでたく糖尿病だ。

 ラドクリフは一口飲んだ。

 「うん、なかなか。美味いな。」

 「相変わらず甘党だね。早死にするよ?」

 アズキがたしなめた。

 「まあ、そうですが・・・、上さんにも言われましたよ。」

 ちなみに彼らは知り合いだ。常連だから予想は付くが。
 あと一応書くと、既出だがラドクリフは既婚者だ。