ここはクロの家。二人がいる部屋。

 クロは煙草の煙を吐いた。
 吸殻は既に山盛りだ。

 それを見て、デュークは微笑した。

 「・・・・・・で、なんなの?それ?」

 いつの間に持ってきたのか、クロの右手には真っ白な枕が抱かれている。

 「・・・・・・今に分かる。」



 シュッ・・・・・・



 と、クロの部屋に突然雷太が現れた。

 「げげっ!・・・・・・クロ・・・。」

 前にも書いたが、『ワープ』は大体の場所しか特定できない。
 本当なら雷太は、自分の家にワープしたかったらしい。

 「おかえり雷ぷ〜♪」

 「よう。」

 クロは一瞬、雷太の足に目を向けた。
 ・・・・・・予想通り、いや何故か知っていた。

 「その様子では、勝ったらしいな。あの『鉄人』に。」

 「ああ・・・・・・ごめん、クロ。・・・・・・俺――――――

 雷太の世界が歪む。
 次第にぼやける崩れゆく。

 クロは枕を投げる。

 その上に、雷太の頭は落下した。

 「・・・・・・すー・・・。」

 寝ている。当分起きそうにない。

 「・・・魔力の使いすぎだ。・・・・・・・・・全く・・・。」

 クロは己の頭を抑えた。
 デュークが笑う。

 「でも、良かったじゃない。帰ってきて。」

 「・・・・・・・・・まあな・・・。」

 クロは、新たな煙草に火をつけると、立ち上がり窓を開けた。

 急激に風が入ってくる。
 机にあった書類が、全て吹き飛んだ。



 キンッ



 窓の向こうは雲ひとつ無い青空。

 書類は、全て粉々に斬り刻まれた。

 空を見ながら、クロはつぶやく。

 「・・・・・・・・・始動か・・・。」



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