ヴィースは、誰もいない廊下で携帯をかけている。

 相手はもちろん・・・・・・・・・。

 『はあ・・・・・・。やはり始まったか・・・・・・。』

 クロはため息をついた。

 「ええ、大変まずい状況です。・・・どうしますか?」

 クロは電話の向こうで煙草を吸う。

 『・・・・・・・・・どうしようもないな。
  とりあえず、雷太に任せてお前は静観しろ。』

 ヴィースは耳を疑う。

 「そんな・・・!・・・・・・もし雷太さんが負けたら・・・。」

 『それでもだ。』

 クロは言い切った。

 『例え雷太が死んでも動くな。それが組織だ。
  それにお前は、自分の組織の副総長を信じていないのか?』

 「そ、それは・・・・・・・・・。」

 『とりあえず戻れ。中佐のお前がいなければ、他の統制もつかないだろう。』

 「・・・・・・・・・・・・・・・分かりました。」

 携帯は切られた。

 クロはため息をついて携帯をソファーに投げる。

 「・・・大変そうだね。」

 アールグレイを飲みながら、デュークは言った。

 「・・・ああ。全くろくな事じゃねえな。」

 しばしの静寂の後、デュークが口を開いた。

 「雷ぷ〜・・・・・・・・・負けて死ぬの?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 クロは煙を静かに吐いた。

 「さあな。・・・・・・ただもしかしたら・・・、
  ・・・・・・・・・・・・出すかもしれないな。」

 「?・・・出す?」