二人は構えている。
 しかし、動かない。

 神谷はため息をついた。

 「埒が明かない。行くぞ。」

 「・・・!!」

 神谷は振りかぶり、浅く拳を出した。

 「・・・・・・!(見えない!)」

 普通なら、陽炎のようにゆらめきなどが見えるのだろうが、
 残念ながら相手は空気の砲弾。
 本当に一切が見えない。

 しかし、凄い圧を感じる。飛んでくる。

 「防御魔法『魔力鋼壁(フォース・シールド(force shield))』!!」

 雷太の目の前に、厚い壁が現れた。
 魔力で作った壁だ。
 空中に浮いており透明だが、光の屈折で分かる。



 ズンッ!!



 空砲は魔壁に直撃した。

 「・・・ぐ・・・う・・・おお!!」

 雷太は余りの圧に押され退がる。
 ・・・が、なんとかガード出来たようだ。鉄壁を破壊した拳を。

 「・・・・・・・・・。
  流石だな、第一級魔導士。」

 魔壁を出したまま、雷太は構えた。

 「水魔法『爆破水放出(スパート・CH3NO2(spout carbon hydrogen3 nitrogen oxygen2))』!!」

 上で見ていた秋葉ははっとした。
 やつが、最後に自分にかけた魔法だ。・・・・・・・・・・・・確かあれは・・・。

 水流は神谷に向かう。

 ――――――が、

 「・・・『空固盛衰』。」

 神谷が言うと同時に、水流が下に落ちた。

 「なっ!?」

 まるで、空気の壁に遮られたような――――――

 「察したか?
  俺の能力は『放出系(ララークス)』だが、多少の操作が出来るように鍛えてある。
  得体が知れないのでな、空気を固めて防がせてもらった。」

 「くっ・・・!」

 雷太は放出を止めた。