「・・・がっ・・・・・・・・・。」

 秋葉はその場に、何がなんだか分からないという様子で立ちつくしている。
 全身が焼け焦げ、煙が噴き出る。
 ダメージは既に見る必要が無い・・・。

 雷太は戦闘態勢を解く。
 火蛇蜥蜴は既に消滅した。

 「・・・・・・・・・・・・な、・・・何故・・・・・・?」

 雷太は静かに答える。

 「お前にかけたあの水流。・・・あれは『ニトロメタン水溶液』だ・・・・・・。」

 「・・・・・・・・・・・・!!」

 「知ってのとおり、爆発危険物。
  お前が水をかけたら自ら発火して蒸発させるのは見たからな・・・。
  それを利用させてもらった。
  流石にかなり複雑だから、相当時間がかかったけどな・・・。」

 秋葉は既に精神力のみで立っている。
 ふらつく彼に、兵の泣きそうな声がかけられる。

 しかし、秋葉はまだ納得していないらしい。

 「・・・・・・・・・・・・だが・・・、俺に火は効かないはず・・・。
  ・・・・・・・・・・・・それに何故・・・・・・?」

 「火と爆発の威力はけた違いなんだよ。
  もっとも、お前に火が全く効かなけりゃやらなかったけどな・・・・・・。
  それに俺は、大の負けず嫌いなんだ。自分でも笑っちゃうほどに。」

 雷太は笑った。
 ラドクリフの時と同じ笑みだ。

 「・・・・・・・・・・・・流石は第一級魔導士・・・と言ったところか・・・・・・。」

 秋葉は大きくため息をついた。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
  ・・・・・・・・・・・・俺の負けだ・・・。」

 秋葉は静かに仰向けに倒れた。

 一瞬遅れ、兵たちが叫ぶ。


 「秋葉軍曹!!」



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