雷太はゆっくりと立ち上がった。

 傷ついてはいるが、まだ大丈夫だ。
 目の焦点は秋葉にしっかりと合っているし、ふらついても震えてもいない。

 「・・・やはりまだ来るか・・・・・・。」

 秋葉は静かに言う。

 「・・・まあ、そうだろうな・・・。・・・組織者はしつこいと聞く・・・。
  ・・・だがな・・・・・・、時は既に満ちている・・・。」

 そういう秋葉の手には、既に4匹の火蛇蜥蜴が牙をむいている。
 新たに2匹追加し、しかも、更に大きくなっている・・・・・・。

 見た目には、雷太の大ピンチだ・・・・・・・・・。

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 雷太は何も言わない。
 ただ、ぶつぶつと何かをつぶやいている。

 「・・・まあいい・・・・・・。
  ・・・・・・・・・行け・・・!!」

 4匹の火蛇蜥蜴が雷太へ向かう。
 流石は操作系能力。ばらばらではなく、十字方向から襲ってくる。

 「くっ・・・・・・!!」

 雷太は斜め後ろに飛び、前方に手を向ける。

 「炎魔法『ヤイバ』!!」

 雷太の手から炎の塊が飛び出した。
 火蛇蜥蜴の先の秋葉へ直接向かっている。

 秋葉は眉を上げ、顔をしかめる。

 「・・・炎の能力に炎魔法だと・・・・・・!?
  ・・・血迷ったか・・・?むしろ吸収――――――



 ボフッ!!



 ヤイバが火蛇蜥蜴を突き破った。

 「・・・・・・な・・・?!!!」

 秋葉は驚きの余り一瞬固まり、避けるのも忘れガードした。

 ヤイバが、秋葉の体を包む。
 しかし、炎は秋葉には『余り』効かないはず・・・・・・・・・。

 ――――――が、

 「ぐっ・・・!おおおぉぉ!!???」

 秋葉は目を見開きながらも羽織で払い、炎を必死で消す。