横に飛んだ勢いと、火蛇蜥蜴に気を取られているおかげで見失ってしまった。

 「・・・・・・・・・。(しまった・・・、これが狙いだったか・・・。
  ・・・・・・どこに行った・・・!?)」

 雷太は水の放射を続けながらも、辺りを見回す。

 「・・・こっちだ・・・・・・・・・。」

 「!!くっ!」

 雷太は、声が聞こえた方向と逆にとっさに地を蹴った。

 ・・・チッ!・・・。

 わずかに、秋葉の手が肩にかすっただけで済んだようだ。
 ・・・・・・・・・しかし・・・。

 「・・・しまっ・・・!!」



 ボオゥッ・・・!!



 雷太の肩を中心に、炎が噴き出した。

 「・・・ぐっ・・・!」

 雷太は転がり、上着を脱いで叩き火を消す。

 しかし、ダメージはありありだ。
 火は見た目と予想以上のダメージを与える。
 ひざをついたまま立ち上がらない。

 「・・・燃えたな・・・かなりダメージがあるはずだ・・・。
  ・・・・・・・・・・・・しかも・・・。」

 水流を途中で止めたためかすかに残っていた火蛇蜥蜴2匹が、
 秋葉の手へと戻ってくる。



 ボオウッ!



 秋葉の手に触れた瞬間、火蛇蜥蜴は完全に復活した。
 紙は既に完全に燃えつきているにもかかわらず、残っている火蛇蜥蜴。
 どうやら、『フレアブレイカー』は操作系能力らしい。

 「・・・ますます俺の火蛇蜥蜴は増える。
  ・・・俺の有利はこのまま変わらん・・・。」

 接近戦は危険、そして相手は遠距離も可能。
 その上、『水をかけても発火して蒸発(け)し飛ばす。』

 雷太は、ひざをついたままだ・・・。
 よくよく考えてみると、この戦闘で殆どしゃべっていない・・・。

 「・・・・・・・・・・・・・・・あと少し・・・・・・。」

 彼は静かにつぶやいた。



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