「なるほど・・・。話は分かりました。・・・・・・・・・まずいですね・・・。」

 ヴィースは顔を曇らせ、考える。

 「そんなにか?」

 雷太のあほは、そこまで重大だと思っていないらしい。

 「当たり前ですよ。・・・・・・雷太さん、今の状況よく分かってないでしょ・・・。」

 《あほの子なんです!!》

 「やかましっ!・・・・・・ワープの失敗で、IFPに追いかけられているけど?」

 ヴィースは頭を抱えた。

 「確かにそうですが・・・・・・。
  まず、この基地は広くて兵も多いです。
  そして僕は貴方を表向きには助ける事ができません。」

 「げっ!なんで!?」

 雷太は驚愕した。
 てっきりもう安全、大手を振って逃げられるものと思い込んでいたらしい。

 「僕はIFP陸軍部中佐ですからね。
  同じ組織の者だからって、ひいきするわけにはいかないんですよ。立場上。」

 「マジかよ・・・。」

 「仕方ないので、僕は影で貴方をサポートします。
  そしてこの基地内では移動形魔法を使用する事はできません。」

 「それはもう分かってる。・・・なんでだ?」

 「理由は設立初期に移動魔法で楽をするものがいたからです。
  原理は分かりませんが、なんでも『デューク』という科学者の力だとか。」

 「うわ・・・・・・。なるほど・・・。」

 どうやら、先刻の魔法が効かないミサイルと同じ原理らしい。

 それを知るはずもないヴィースは、そのまま続ける。

 「ちなみにこの基地内で僕を除いて一番強いのは『秋葉』という人です。」

 「『秋葉』?」

 「ええ、通称『レッド・スネーク』。目に濃いくまがあるのですぐ分かります。
  しかも、なんと『大佐』――――――

 大勢の人が走る音が聞こえ、二人は口を閉じた。

 足音は素早く去ってゆく。

 「だらだら話している時間はありませんね・・・・・・。
  この部屋の扉から真っすぐに進むと唯一の出口に出れます。」

 「そうか。・・・まあ、行くしかないか。」

 雷太は気合を入れた。

 「ええ、僕はとりあえずクロさんに電話しておきます。」

 雷太は気合が抜けた。

 「ああ・・・・・・。(絶対怒られるよ・・・。)」



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