第25話 “BM第六番隊隊長”


 「む゙〜〜〜!!」

 ここは雷太が何者かに引きずり込まれた部屋。
 雷太は口を手で塞がれ、暴れている。

 逃げられなければ死刑。そういう世界だ。

 「静かにして下さい、雷太さん・・・!」

 雷太を引きずり込んだ者は慌てて言った。
 実は、名前を呼ばなくとも使える魔法が少数だがある。
 しかも強力なものばかりなので、それを放たれたのではたまらない。

 「ゔ〜〜〜〜・・・?・・・・・・???」

 雷太さん?・・・確かに彼はそういった。
 そういえばこの声は聞いたことがある・・・・・・、そして謎の光り輝く剣・・・。

 雷太が黙ったので、その者は手を離した。

 雷太は後ろを向き、言う。

 「お前・・・・・・ヴィースか!??」

 名前を問われたものは静かに微笑んだ。

 「お久し振りです。雷太さん。」

 彼の名は『ヴィース・ジャスティライト』。
 雷太より背が高く、年は18歳。
 光り輝くような色の金髪に、整った顔をし、背が高いので女性には特に人気がある。
 IFP陸軍部中佐であるが、なんと“強大組織”『ブラックメン』の第六番隊長でもある。
 その能力の名は『ライトニングソード』。
 何も無いところから光の剣を作り出す能力だ。
 その斬れ味は凄まじく、今のように厚い壁を斬る事も出来る。
 IFPにもブラックメンにも、必要とされている存在だ。

 ちなみに、IFPには組織所属者も入ることが出来る。
 IFPにとっては組織を相手に出来る強者が欲しい。
 組織にとっては他の組織とIFPは邪魔だ。
 この二つの利害関係が一致しているのだ。
 もちろん、『自分が所属する組織関係には関わらない。』
 『IFPにいる時は、IFPの事のみを考える。』という制約はあるが。

 雷太は、知り合いがいた事で少々安心したようだ。

 「しかし危なかったぜ・・・。お前がいてくれて助かったよ。」

 壁に斬った壁をパズルのようにはめ込みながらヴィースが言う。

 「雷太さん・・・・・・・・・。」

 「・・・・・・ん?」

 「何やってんですか!?ここはIFP基地内ですよ!」

 「うお・・・!だってワープが・・・・・・。」

 雷太は驚きながら説明した。
 ヴィースは普段非常に冷静な男だ。このように大声を出すのは実に珍しい。