―――――― 一方その頃。




 ここはクロの家内。
 雷太と違って無事に着いたデューク達が、氷雨に案内されクロがいる部屋へと向かっていた。

 やがて、ようやく着いたようだ。

 「着きました。ここです。」

 「ありがとう、氷雨ちゃん。」

 氷雨は、扉を優しくノックした。

 「クロさん、デュークさん達をお連れしました。入りますよ。」

 すぐに、扉の向こうから返事が帰ってくる。

 「ああ。」

 氷雨は扉を開けた。

 「・・・久し振りだな、デューク、健、啓太、D・J。」

 「ひさしぶり〜クロぷ〜♪」

 「お久し振りです。氷上=P・クロさん。お世話になります。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 「お久しです。クロさん。」

 5人はそれぞれ挨拶を交わす。

 「・・・・・・?・・・『霞』に『建太朗』、あと雷太はどうした?」

 クロが聞と、健が答えた。

 「二人は私事で外出しています。
  雷太さんは自分の家によってから来るそうです。」

 「そうか。・・・しかし、来るのが意外に早かったな。
  こちらとしては、あと2〜3日かかると踏んでいたんだが。」

 「それがね〜、城がミサイルで爆発しちゃったんだよ〜。あはははは。」

 笑い事ではない。

 「何?・・・・・・・・・・・・またか。」

 どうやら、あれが初めてではないらしい。
 最も、規模は今回が最大のようだが。

 「・・・まあいい。少し早かったが、既に部屋は一人一部屋ずつ用意している。
  氷雨にそれぞれ案内してもらってくれ。
  ・・・・・・・・・・・・ただしデューク、お前は残れ。」

 健達はそれぞれ挨拶をし、氷雨について各々の部屋に歩いていった。

 大きな書斎にクロとデュークが二人。

 暫くの沈黙が続く。

 クロは新しい煙草に火をつけた。

 「まだ・・・・・・煙草吸ってるんだ?」

 デュークが言った。
 二人とも、先程までとは打って変わって真面目な表情だ。

 「・・・ああ。・・・・・・・・・『あの事件』以来か・・・。
  あれから厖大なときがたったが、一度も止めてないな。」

 「体に悪いよ。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 クロはため息をついた。
 自分の手を目の前にもって来、しばらく見つめる。

 「・・・・・・・・・・・・関係ねーよ。・・・・・・この体にはな。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだね。」

 デュークは目を伏せた。

 またもや静寂が部屋を包む。
 時計の針音が、妙に大きい。

 「で、どうなんだ?」

 クロが静寂を破った。
 デュークが顔を上げる。

 「ああ、『それ』ならまだ大丈夫だよ。」

 「・・・・・・そうか。」

 また少々の静寂の後、デュークが言った。

 「クロ・・・。・・・・・・もしも、どうしても駄目だった時には・・・僕を――――――

 その言葉を途中でさえぎり、クロは言う。

 「安心しろ・・・・・・。俺は・・・・・・必ずお前を殺してやる。」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 デュークはクロを見た。

 「・・・ありがとう。」

 彼は笑った。



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