「で、でも・・・めんどくさいし・・・・・・。」

 「めんどくさいじゃないですよ、全く・・・・・・。」

 青年は雷太へ向き直った。

 「どうも初めまして、僕の名前は『暁 健』(あかつき けん)です。よろしくお願いします。」

 「あ、いえ、こちらこそ。龍 雷太です。」

 「失礼ですが、その『手紙』を見せていただけますか?」

 「あ、はい。どうぞ。」

 雷太は健に手紙を手渡した。
 流石に中は開けないが、健は手紙を丁寧に見る。

 「確かに確認しました。・・・改めてようこそ、『古の城』へ。歓迎します。・・・・・・ねえ、D・Jさん。」

 「うぅ・・・、しつこいなぁ・・・。」

 D・Jはげんなりした。

 「全く・・・・・・。ところで、デュークさんのいる部屋に行ってるんですか?」

 「そうだけど・・・・・・・・・。」

 「それなら僕も行きますよ。デュークさんに用があるものでね。」

 「げぇ〜〜〜〜〜・・・・・・。」

 「『げぇ〜』じゃないです。お客様の前なんだからもっとしゃんとして下さい。」

 「はいはい。」

 「それじゃあ行きましょうか、雷太さん。」

 「あ、はい。」

 3人は再び巨大な広間を歩き出した。



 ―――――― 一方その頃。



 クロは一人で考えている。

 手にしたペンは動いていない。
 ギンとの電話前に氷雨が入れてくれていたコーヒーは既に冷めてしまった。

 「・・・・・・・・・・・・勝てるやつか・・・。」

 ・・・どうやら、冷静に分析してみるらしい。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 クロは無言で携帯を手に取った。

 番号を高速で押すと同時に、新しい煙草に火をつける。

 「・・・・・・・・・・・・・・・ヴァンか?」



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