本来なら真っ黒な、装飾が施された門が閉まっているべきなのかもしれないが、その門は堂々と開け放たれている。

 “入りたいなら勝手に入って来い。”が、彼の理論らしい。

 「相変わらず無用心だなぁクロは。
  ・・・・・・ってかマジでいつ見てもでかすぎだろこの家・・・。・・・・・・独身のくせに。」

 クロは独身だというどうでもいい情報は置いておいて、確かにこの家は大きすぎる。

 下手な町なら2つほどすっぽり入ってしまうだろう。

 何故意味もなくこのような大きい家に住むのか。

 それも今まで彼の口からは発せられた事がない。

 「あいつ、何だかんだいって彼女いないんだよな・・・・・・。・・・もてるくせに・・・・・・。」

 《・・・小猿とは大違いだ。》

 「・・・なっ・・・!・・・こ・・・・・・俺か!?俺の事なのか!?」

 《         》

 「シカトすんな!!!」

 とにかく、雷太は表札の下にある呼び鈴(インターホン)を鳴らした。

 ビ――――――

 金持ちの家の呼び鈴の音と言えば、だいたいこのようなものだろう。

 ちなみに、埋め込み式マイクはあるがカメラはない。

 しばらくして、マイクから応答があった。

 『は〜い?』

 女性の声だ。若い。

 「・・・・・・・・・???!??!?!!!!」

 雷太は瞠目した。



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