第18話 “おんぼろ飛行機で行こう〜墜落編〜”


 テレビの中のクロは話し始めた。雷太は集中して聞く。

 『本来、この計画は非常に危険なものだった。
  元より世界でも有名なお前を『人の迎え』なんかに使うんだ。
  情報が漏れれば大抵の組織、そしてIFPに警戒、妨害される事は間違いない。』

 「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 それはそうだ。実は雷太は結構有名人である。

 《生意気な事に。実に悲しきかな。》

 「・・・・・・・・・。(てめえ!)」

 『そして情報は漏れるものだ。いかに漏らすまいとしてもな。
  故に今回は虚偽の情報を、見破られない程度にわざわざ小規模で事前に流しておいた。
  『龍 雷太は立派な一人用飛行機で、今日ではなく明日にジュッペ〜ル大陸に行く。』とな。
  これだけでも十分な対策にはなった。』

 雷太は感心した。確かに、嘘の情報を流すのは得策だ。
 ただ、余り大げさに流したのでは瞬時に怪しいとばれる。
 故にクロは相手が血眼になって欲し、それでようやく得られるほど狭い規模で、情報を流したのだ。

 「・・・・・・でも、そこまでしなくても・・・俺じゃなければいいんじゃ・・・?」

 ちなみにこのテレビは録画で雷太とは応対できない。

 《テレビに質問した雷太が痛い子なだけです。・・・・・・ぷっ。》

 しかし、クロはその質問を想定していたらしく、直ぐに言葉を続けた。

 『もちろん、お前を選んだのには理由がある。
  お前でないと出来ない事があってな。その為だ。』

 「?なんだそれは?」

 クロは当然だが、無視して続ける。

 『そしてそれはデュークのところへ付いてから奴にでも聞け。』

 「ちぇっ。クロめ、テレビでもケチなやつだな。」

 『黙れ。ケチじゃなくて時間が無いんだ。』

 「!!???」

 雷太は引いた。これ本当に録画か?普通に返答したような気が・・・・・・。
 しかし、画面は間違いなく録画のものだ。